エクストレイル 加速フィールが悪いので原因を探ります。

先日、エキマニの割れ修理を終えたエクストレイルです。
 
 
 
マニホールドが新品になりましたのでターボ車の加速を味わえるようになったかな?
 
…と思ったのですが、エンジンのフィーリングが今一つ良くありません。
 
引き続き点検と修理を致します。
 
 
 

 
症状としては、全体的に加速が鈍く、
 
特に1500~2000rpmと2500rpmあたりで吹け上りが止まる感じがします。
 
 
 
2ヵ月ほど前にチェックランプが点灯したということで、
 
ご近所のディーラーさんにて点火コイルを新品交換されたと伺っておりますので、
 
他のセンサー類を疑い、調査を開始します。
 
 
 

 
診断機で見ても、エンジンは正常に稼働していると表示されます。
 
各パラメーターを見ても、著しく正常値から離れている項目はございません。
 
トラブルの出やすいO2センサーの出力変動電圧も正常です。
 
尚、エンジンチェックランプは点灯しておりません。
 
点検と試走を繰り返すと症状だけが顕著に現れてきました。
 
 
 

 
オーナー様からの情報と症状より推測して今後の点検箇所を挙げます。
 
・点火コイルは交換済み。
 
・アース不良、及び不足。
 
・エンジンノッキングを感知して点火時期がリタードしていないか。
 
・ノックセンサーの位置を変更したことにより走行フィールが改善されるか。
 
・エンジンヘッド内のタペットクリアランスに狂いはないか。
 
等々…
 
普通に乗っていてこんなことが起こるのかな?
 
と疑問を抱きつつ簡単なところから一つずつ試していきます。
 
 
 

 
まずバッテリーターミナルの割れを発見しましたので修繕しました。
 
ついでにエンジンブロック側にもアースを1本増設しました。
 
『あーなんだ。これだけかもね!』
 
・・・しかしながら全くと言っていいほど症状に変化はありませんでした。
 
 
 

 
ノックセンサーの取付位置を変えても点火時期、症状、共に変化なし。
 
そもそも計測時に大幅な遅角は見られませんでしたので当然のことです。
 
この後クランク角センサーも調整して、進角、遅角双方でテストしましたが
 
走行フィールに変化はありませんでした。
 
 
 
ここまで来たところで、ATのシフトをDレンジやRレンジに入れただけで
 
エンジン振動が不規則にステアリングやシートまで伝わってくるようになりました。
 
「悪化している。やっぱりタペットカバーを開けないといけないのかなー」と思いつつも、
 
この症状は点火系な気がして仕方がない・・・
 
でも確か点火プラグも最近交換されたと聞いた気がするし・・・
 
 
 
ここで、もう一度オーナーさんに確認します。
 
「数カ月前に点火プラグも新調しましたよ」とのことです。
 
気になるけど新品を入れてるんだからそれはないか…?
 
 
 

 
可能性からすると、エンジン内部かECUかAT-CUとそれらのハーネスくらいなのかな?と思いつつも、
 
もう一度診断機を接続しまして、アクティブテストを実施します。
 
 
 
噴射するガソリンの量を一時的に上げ下げしたり、水温を上がったことにしてみたり・・・
 
そして1気筒ずつ、燃料噴射を止めて、
 
エンジン振動などを調査するパワーバランスもテストしました。
 
 
 
ここで、
 
通常では、いずれか1気筒の爆発を止めるとガタガタとエンジンが揺れ出すのですが、
 
4番シリンダーの燃料を止めた時だけ振動の伝わり方と燃料噴射量の変化が少ない気がしました。
 
4番に何かある…
 
 
 
ここまで来て、テストするネタも切れてきましたし、
 
コンピュータやエンジンをバラすと時間も工費も掛かりますので、
 
新品にして間もない点火コイルと点火プラグを疑うことにします。
 
 
 

 
インタークーラーとコイルカバーを順に外したところです。
 
黄色いコイル・・・社外品です。新しいけど何とも怪しげな感じがします。
 
 
 

 
また、コイルコネクタに巻き付けてあるインシュロックも不安要素の一つです。
 
更に装着されていた点火プラグは、過去にトラブルで泣かされたことのある、
 
ウチでは使用しないことにしているメーカーのものが使われておりました。
 
 
 
この周辺だけで、トラブルに繋がる条件が3つ挙がりましたので、
 
気に掛かっていた4番シリンダーのものだけを手持ちの部品と交換してみたところ・・・
 
 
 
さっきまでの状態がうそのようにエンジンフィールが良くなり、
 
加速性能も格段に向上しました。
 
これが、正常なエクストレイルの加速だと体感できました。
 
原因は『新調したばかりの点火部品の故障』と判明しました。
 
 
 
イグニッションコイルは純正品へ、そしてイグニッションプラグはNGK製に交替させ
 
また、コイルコネクターは劣化していた樹脂部のみを新調して作業完了と致します。
 
 
 
とても遠回りをしましたが、原因が分かり調子を取り戻せました。
 
これからは、あらためて「仕上げて間もないメンテナンスや新品部品の故障も疑ってみる。」
 
このことも念頭におきつつトラブルシュートをしていこうと思います。
 
 


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